僕と城矢君の平行線は。

「翔!おはよう!」

「おーう翔。おはよー。」

クラス中が城矢君に挨拶をする。

僕はその声達を城矢君の背中から聞いていた。

「翔~、聞いてくれ、ょ…!」

一人の男子が城矢君に話しかけてきた。

その男子は会話の途中、不自然な反応をした。

それはそうだ。

あのクラスの人気者、もしかしたら学校一の人気者の城矢翔と一緒に僕が来たのだから。

僕は嫌われ者だ。

このクラスからも、この学年からも、この学校からも嫌われている。


あの男子の不自然さをきっかけに周りが注目する。

おはようで響き渡っていた教室は、今では静寂に包まれている。

はぁ。

なんで、こんなやつと友達になりたいかな。

変な誤解をしてほしくなかったから急いで訂正をする。

「僕達なんでもありま__」

「友達だから。俺の。」


優しくも決意のこもった声が、僕の言葉を遮った。



本当に君は…僕の静寂を壊してくれる。

城矢君の一言でクラスがざわめきだした。


「か、翔。今なんて言ったの?」

「俺の友達だって言った。」

「な、なんでよ!あいつが嫌われてること知ってるでしょ!?」

「だからなんだよ。俺の友達を馬鹿にするな。他に言いたい人はいる?」


誰もいなかった。

まだ周りでは話し声が聞こえたけど、誰も城矢君に言わなかった。