僕と城矢君の平行線は。

思わず足を止めてしまう。

あいつは僕を追い越し、振り返った。


本当に今日は驚くことばかりだ。

僕と友達だって?

そんな人…まだこの学校にいたんだ。

「ふざけないで。」

声のトーンが低くなる。

自分でも制御できない黒い感情が、僕を縛り付ける。

信じれるわけないだろう。

そうやって人は簡単に裏切るのだから。

「ふざけてない。俺は星南さんと友達になりたい。」

真っ直ぐ見つめられる。

なぜか逸らせない。

「もし嫌でも俺が勝手に友達になるよ。それでいつか友達だって言ってもらうから。」

そう言って城矢君は笑った。

その笑顔はまるで太陽のように眩しく、僕の氷った心を溶かしそうなほど暖かかった。

嘘のない笑顔、だと思った。

「勝手にすれば…。」

城矢君はその言葉を聞いて嬉しそうだった。




カチッ





僕自身まだ気づいてない。

僕の心が動き始めたことに。

今まだ歯車が1回進んだだけ。


信じた訳じゃない。

それでも進んだのは確かなこと。