先代の私 でも、、、

呑気にそんな事を考えていたものの、

料亭からずっと抱き上げられたままなのがまた恥ずかしい。



でも、良い香り。

落ち着く。



口元が緩み、警戒心なんて何?ってまでリラックスしているのが自分でも分かる。



「っ////」



連れられるまま連れられていると、料亭を出た所に車に凭れる裕人さんが居た。



「あれ?どうしたの綾人、そんなに赤くなって」



「っ煩い」



敬語じゃないと思いながら見上げると、顔がすぐ近くにあって恥ずかしかった。



だが、そんなのがどうでも良くなるくらい、

綾人が耳まで真っ赤にしていたのが可愛くて仕方なかった。 



「あっ、静司が綾人のバイク乗ってったから、3人で家の車に乗ろっか」



「えっ。…あっ!鍵、掛け忘れてました」



「そういう事だから、乗って」



やらかしたとでも言いたげな綾人を見上げてると、

抱き上げられたままの状態で車に乗せられる。



「綾人、下ろ……」



絶対に下ろさないと顔で伝えられ、潔く諦める。



「アハハっ、綾人彩華ちゃんにゾッコンだね」



「「///」」



綾人の反応可愛過ぎ。

てか抱き締められてて恥ずかしい。



クスクスと裕人さんに笑われながら着いたのは我が家。



門の直前まで走ってくれたらしい。



下りようと動こうにも、綾人に胸に顔を埋められて動けない。



「綾人?」 



「………」



「?」



無言じゃ分からないぞと思っていると、また裕人さんがクスクスと笑い出した。