先代の私 でも、、、

「綾人、すまない。他人行儀な態度で接して」



顔を勢い良く左右に振り「いえ」と言う綾人。



「彩華、聞きたいのですが」



「ん?」



「僕は…まだ、彩華の中で恋人として、認識…されていますか?」



不安そうな声音。

思わず抱き締めたくなるような感じだ。



「当たり前だろ?」



「良かっ…た…。本当に、良かった…」



涙を一筋流した綾人。



えっ、何だろ。

場違いで不謹慎だが、可愛い。



良かったって言ってるのがまた可愛くて、

いつもと違う様な涙目とか見れて顔が熱い。



思わずキュンっと来てしまい、口元を右手で抑えて左手を畳の上に付き、

顔を左に反らして目線を反らす。



何か女子としての敗北感が地味にあるが、

そんなのどうでも良いくらい目の前の綾人が可愛い。



あーっ、抱き締めたい。



何か昨日の事がどうでも良い事みたいに吹っ飛んでいったのを感じながら、

どうにか顔の熱が飛んでいかないかと思っていると。



「彩華?」



不思議そうに見つめて来る綾人。



「どうしました?」



立ち上がって真横に来た綾人に顔を覗き込まれる。



ちょっ、何辞めて。

顔赤いのとか今見られると恥ずかしい。



カァッと顔に熱が溜まり、心臓がまたバクバクしてる。
 


「あっ」



ん?

何か綾人に気付かれたらしい。



さっきまでの可愛さはどこにと思うくらいにニヤニヤしながら、

私の左手を握って、顔を覗き込んで来る。



視線を反らしていても感じる視線に、

心臓の鼓動が急上昇し、顔の熱が半端ない。



「クスッ、可愛いですよ。あ、や、か」



耳元で甘い声音で告げられ、目を瞑って心の中で叫ぶ。



恥ずかしいから辞めろ〜〜〜!!!!