先代の私 でも、、、

目を閉じ、口角を上げ正座したのだがまず言おう。



何故ここに、警察総督の黒宮裕人が居るんだろうか。



そして、何故肝心の私の見合い相手が居ないんだろうか。



裕人さんは私にとっては身近な存在だったりする。

理由は裕人さんが時々フラッと裏の屋敷を訪れるからだ。



警察関係者というよりは、兄の友人的な感じだ。



若くして総督という地位に就き、見た目年齢20代の現在38歳黒髪黒目の美形さんだ。



静司兄同様にスーツを着ているが、素が丸出しで威厳がない。



元々裕人さんは優しくてお人好しだったそうだが、人を見る目や疑う目もあり、

同時に努力9割運1割で総督という地位に就いた人だ。



だが、元々の優しさは抜けず、

親しい友人や間柄の人には心底甘く、言ってみたらヘラヘラしている。



「で、裕人さん?」



「はいっ」



黒い笑顔と圧を掛けた静司兄に、裕人さんは年上には見えない返事をした。



「息子さんはとうしたのかな?」



「もうそろそろ来るはずなんだけど……。

何か手が離せないとか言うから、んなもの放って来いって言って了承してくれたんだけど……」



んなものって。

裕人さんって息子関係になると時々口が悪くなるのは何故だろ。



「はぁ……。まぁ困るのは息子くんの方だから別に良いんだけどね、僕はさ」



そう静司兄が言ったと同時、静司兄の携帯が鳴った。



静司兄は流れる様な動作で携帯のディスプレイを見て、「遅い」と呟いてから取った。



「そういえば彩華ちゃん」



「ん?」



「そろそろ作り笑い、辞めて良いんだよ?いつも通りで」