先代の私 でも、、、

着物の着付けを終え、静司兄に急かされ用意された車に乗り込む。



ちなみに今はウィッグやカラコン、晒しなんかを外しているが、

男物の着流しなんかの着物が着慣れた私には、やはり違和感がある。



いつもと違う、真新しい振り袖。高い位置のクリーム色の帯。



これで昼食を取るのかと思いながら、風魔財閥の経営する料亭へと着いた。



風魔財閥が経営するのは主に料亭やホテル、宿なんかの施設だ。



見た目からして和を感じさせる料亭へ足を進める。



「相手の事、聞いてこないね」



貸切状態の料亭へと入る途中、静司兄が言った。



「まぁ、興味が無いから」



「そう?見合いだけでも緊張するかなーって思ってたんだけどね」



クスクスと何故か笑いながら料亭に入り、

控えていた優しげな女性店員に個室へと案内される。



見合いだけでも緊張するかなーって思ってたんだけどね。

静司兄の言葉が蘇る。



見合い…ね。

静司兄が選んだ見合い相手が誰なのかなんて、今考えても知らない名を聞くだけだろう。



だが、政略結婚なんてものでは無さそうなのが不思議だ。



見合いするだけが良いからと言いつつ、参加は圧を掛けて了承させた静司兄。



一体何を考えての行動なのだろうと思っていると個室の襖が開かれ、

そこから見合いが始まった。