先代の私 でも、、、

ーーっ!



最低…か。

呼び方も変わってるし、静夜以外が殺気と睨みすら私に向けてる。



確かに悪かったさ、確認もせずに入れて。

ダメ元で入れて。



「すまなかった。もう……、お前達に迷惑掛けないから」



ーっ!



………。

「お引き取りを」



6代目達に謝罪してから女の肩を掴んで言った。



「何よ!家族の問題に入っ」「では実力行使です」



声を遮って引きずる。



「ちょっ!離しなさい!離せっ!」



暴れてるのも気にせず引き摺って、門を開けて外に出す。



何か言ってたようだが、気にせずに門を閉める。



………悪かったさ、そりゃ。

虐待した奴を入れてっ、悪かったと思ってるさっ。



門の向こうからは未だに聞こえる女の怒鳴り声。



………っ。

悪かったさ、私がっ。



頬に涙が伝う。



何も知らずに、勝手に判断して、悪かったさ。



足に力が入らなくなり、その場に門を伝って崩れる。



朱里が朝、普通の女の子が似合うと言っていたから、てっきり幸せな家庭なんだと思っていた。

虐待なんて無縁の、両親と3人暮らしの暖かい家庭があるんだと………。



弱いし、情けない。



だけど、さすがに好きな相手に軽蔑されるのは応えるよ。



最低と言われ、呼び方も変わって、朱里の肩を抱いて、私を敵と見なしたあの視線。



静夜が、あの敵と見なした視線を私に向けなかったのが救いだな。

もし静夜にも向けられていたらきっと、私は逃げ出していた。



だからといって、どうしたものか。



私が今戻った所で、鍛えるのを再開するとも思えない。

逆にまた、あの女を入れた最低な先代と見られるかも知れない。