先代の私 でも、、、

怖かったからか涙目の朱里。

だが涙目でも、睨むのをやめて居ない。



「綾人君を1番好きなのは私だもん!仲良い女の子も私!1番近いのも私!」



必死に叫ぶ朱里。



「私の方がずっと前から、ずっと強く綾人君を想ってる!彩華さんよりずっと!」



………あぁ、そうだな。



目を閉じる。

朱里が嬉しがってるのが感じ取れる。



私は普通じゃない。



可愛い普通の女の子でもない。

親しくもないし、仲が良い訳でもない。

代も違うし、綾人と過ごした時間も、綾人を想った時間も勝てない。



私は裏世界の人間だ。

静夜より、静司兄よりも、綾人よりもずっと黒い部分に居るだろう。



正直、当の私本人が綾人の身が心配で諦めようとした。



………だがな、私だってもう諦めたくないんだよ。



「確かに、私は朱里の様に釣り合わないだろう」



「じゃあっ!」



「家柄も容姿も普通の可愛い女の子。桜花の姫で綾人の1番身近な女の子なんだろうな。私とは大違いの」



「?」



私の発言に首を傾げる朱里。



そんな朱里を見つつ、私は自信を持って言う。



「にも関わらず、告白すらしてないんだろ?」



「っ!」



目を見開く朱里。



「朱里には悪いが、私だって諦めたくないんだ」



「っ」



「私だって、綾人が好きなんだ。釣り合わないのも、似合わないのも分かってる…。

だがそれでもっ、好きだから手放したくないんだっ」



黙り込んだ朱里。



しばらく待っても動かなかったため、失礼だろうが背を向けて朝食を作り始める。