「やっぱり僕、お姉ちゃんの手伝いしたい」



っ!

「だからダ」

「お願い……。僕、もう動いてないと…辛いんだ」



えっ?



弱々しい静夜の声。

泣くのを我慢するような、いつもと全く違う静夜の声。



「僕、朱里の事…好きだけど、朱里はっ…綾人が好きなのバレバレで…諦めるしか…なくてね?辛いんだ、それを見てるの」



っ!



「綾人は朱里の事姫だとしか思ってなくて……。でも…朱里は綾人が好きでっ、横取り出来ると思ってた。綾人にその気が無いならって。けど、実際話すと何も言えなくて……。だって、本当に綾人の事が好きなんだよ?朱里はっ」



静夜の腰に回る腕の力が強くなる。



「喧嘩しようにも相手とか居ないし、抗戦なんてそう起きるものじゃないし。…ただの八つ当たりなのは分かってるけど、僕、桜花に必要とも不要ともされてない感じで…」



っ!?



「役に、立ちたいよ……」



必要とも不要ともされてない訳無いだろっ。

必要なんだよ、静夜はっ。



静夜が居るから明るいんだぞ?

静夜が居なくなれば、確実に倉庫は変わる。



静夜が明るいから回りも明るくなるんだ。



そう言いたいのに、口を開けば大声で言ってしまいそうで、

私はただ静夜の頭を撫でながら、抱き締める事しか出来なかった。



しばらくして聞こえてきた廊下を歩く数人の足音。



6代目達。綾人達だろう。