「どうした?」



「朱里が手伝いたいって」



手伝い……ね。



1人の方が慣れてるし早いんだけどなー、多分。



そう思ってると、察したらしい朱里が言った。



「あっあの、私、手料理とか出来なくて…。でも、静夜君のお弁当とか時々持ってきてたお菓子とかすごく見た目も可愛かったり美味しそうだったりして、味は本当に美味しくて作れるようになりたいなって思って……」



……。



「倉庫とかでも姫なのに料理出来なくて、お菓子ばっかり皆に出してて、恥ずかしくって……」



えっ…。

何故涙目!?



「わっ、私、本当に彩華さんの作った料理好きで、味付けとか教えて欲しいです!」



なっ、涙目で言われても……。



……だがまぁ早く作る必要も無いし、こんなに言われたらな。



「良いよ」



「!ありがとうございます!」



「じゃあまず敬語止めてくれ。堅苦しいから」



「うっ、うん!」



満面の笑みでそう言われ、勝手に嫉妬していた自分が恥ずかしい。



「あっ、お姉ちゃん!いつも通りの和食でお願い!」



いつも通りか。



「分かった」



「楽しみにしてるね!じゃあ!」



引き返した静夜を見てると、朱里に見られていることに気付き歩き始める。



厨房に着くと、朱里は回りを見渡して目を輝かせていた。



それを口元を緩めながら見つつ、材料を出すなどの支度を始める。