っ!



頬に流れていた涙。



そうか、泣いて…すっきりしたのか。



諦めきれた、気がする。



見れば思い出すだろうが、過ぎた思い出だと普通に接せれるだろう。



………。



しばらく浸かっていたが、大浴場とを繋ぐ扉辺りに掛けてある時計を見て上がる。



今は5時半。



上がり湯を浴び、水気を切って身体や髪をタオルで拭く。



棚から新しい肌着を出し、それを着て羽織を羽織る。



髪を乾かしてから脱衣場を出て、急ぎ足で厨房へと向かう。



台所というか厨房というか、和と洋が混ざっていてどちらか分からないが、

調理台もシンクも冷蔵庫も広いし大きいしで、

その他もろもろの調理器具やらが宅さんあり設備は有り余る程揃っている。



夕食の準備を初めて気付いたが、6代目はここで食べるのだろうか。



………聞いた方が早いし正確だな。



一旦厨房を後にし、静夜の部屋へと向かってみる。



廊下を歩いていると、話し声が聞こえてきた。



襖の前に立ち、呼び掛ける。



「静夜、居るか?」



「あっうん!」



その声の数秒後に出てきた静夜。



「夕食は外か?」



「えっ!?家で食べるよ!勿論綾人達もね!」



………マジか。



静夜だけなら良かった……。



若干そう思いながら「了解」と言い引き返す。



献立、どうしよ。



そう思ってると、突然パタパタと走ってくる足音が聞こえた。



振り返れば朱里と静夜が居た。