笑顔で朱里に受け答えする静夜。



それを温かく見守る6代目達。



………。



何故か居たたまれなくなり、静かにその場を去る。



どこへ行くでもなく進み、着いたのは脱衣場前。



多分、6代目達は緊張もしていないようだったから泊まっていくだろう。



なら、先に入っておこうかな。



そういうわけで男の方の脱衣場に入る。



男女分かれてるものの、こんな時間に使う者は居ないだろうし、

差がある訳でも無いため何となくだ。



男女分かれてても、どうせ自分の家なのだから気にすることもないしな。



羽織や着物を脱いでから髪を軽く解かして大浴場へと入る。



髪や身体をササッと洗い終え、露天の方に移動して湯に浸かる。



………。



私は、何て強欲なんだろう。



朱里に、嫉妬している。



綾人と朱里は両思いだ。



それはもう変えることなど出来ないのに、素直に祝えない。



その上静夜と話してる姿を見て居たたまれなくなり、何も言わずに去るなんて。



1人の姉として、先代として恥ずかしい。



諦めるなんて簡単には出来ないぞ、これ。



どうしてだ?

何で顔すらも見せられなかった相手を好きになったんだ?



呼び捨てにしろというのを聞いてくれたから?

それとも整った容姿か?

丁寧な敬語か?



………諦めたいのに、諦められない。



何でだ、どうして。