普通なら、私は5代目総長として倉庫に出入りする事も可能なのだが、

私情がな。



ここまで何回か我慢してきたし、ここはもう静夜に任せよう。



電話を掛けると、驚くことに1コールめですぐに繋がった。



『お姉ちゃん!今何処!』



………無視しよ。



「倉庫前だ。勿論お姫様は取り返したから、迎えにお出で」



『えっ!?ちょっ、ちょっと待って』「じゃ、静夜宜しくねー」



『えぇっ!?ちょまっ』



早々に電話を切り、メットを被ってバイクに股がる。



「あっ、あの!」



「ん?」



「あっ、ありがとう!」



っ!



礼を言われるとは思っていなかった。



だが、どうも頭は冷静だったらしい。



「どういたしまして」



そう一言言い、これでもかというぐらいのスピードを出して走り出した。



……一刻も早く、ここを立ち去りたかったから。



そのまま家に帰り、お風呂に入ったのになーなんて思いながら軽くシャワーを浴びる。



その後はいつも通りの流れで布団に入り、瞳を閉じた。