「そうやって…諦めるの。」

静かになった病室に私の声が響いた。

「うん。諦める。俺はもうすぐ死ぬよ。」

空はそういった。

もしかしたら空はずっと病気と戦って自分の気持ちとも戦ってきたのかもしれない。

そう思ったら同情せざるをえなかった。

「そうだよね。死ぬかも知らされてないのに怖いよね。」

私は空にそういった。

「そうだね。」

空は私の目を見ながら言った。

空は怖いんだ。それなら…私が…

「…いるよ…傍に…死ぬまで…」

私は涙を流しながらそういった。

「俺は死ぬかもしれないんだよ。そしたら残るのは俺の気持ちだけ。それを背負って生きていかなきゃいけないかもしれないよ。」

「それでもいい。私は空が大好きだから。死ぬまでそばに居たい。」

私はぐっと涙をこらえてにっと笑ってみせた。

「ひなた…」

「空。0.1%の可能性でもいい。それでも私は空が生きることを信じる。」