はちみつ・lover

彼に促されるまま長い廊下を抜けると、何

畳あるのか分からないくらいに広いリビン

グに入った。彼はジャケットをソファに掛

けるとこちらを振り返った。

「楽にしてください」

「そ、そんな事言われてもくつろげないよ」

こんな広くてリッチな部屋で、どうくつろ

げと・・・?ムリに決まってるじゃない。

年下の彼がこんな高層マンションの最上階

に住んでいる反面、私が住んでいたのはかな

りガタがきていたボロアパート。こんな田

舎臭い女がこんな所にいる時点で状況的に

おかしいから。

「ていうか・・・ほんと私、夢でも見てる

のかな」

目の前に広がっているのは、全面ガラス張

りのショーウィンドウみたいな窓。壁には

50インチくらいの巨大なテレビが設置され

ていて、白いリビングに見合うベージュのソ

ファは何人掛けですか?ってくらいに大き

い。おまけにテーブルはガラスで出来てい

る。見た目通りインテリアまで凄くオシャ

レだ。

「せっかく二人きりなんだから、いろいろ

楽しみましょうよ」