はちみつ・lover

「葵さん、着きましたよ」

タクシーが停まったのは、さっきいた所か

ら数キロメートルくらい離れたマンショ

ン。私はタクシーを降りると異変に気づい

た。

「あれ、そういえば美香は?」

いつの間にか美香が隣にいない。

「会社前からついて来てませんでしたよ」

「えっ?そうだった?」

パニックのあまり気づくのが遅れてしまっ

た。どうせ美香の事だから「二人してイチ

ャイチャしてなさいよ」とかいうフワッと

した理由でついて来なかったに決まってる。

「って・・・いうか、ここ・・・」

よく見てみて気づいた事だが、ここは都内

でも有名な超高級タワーマンション。1階で

も家賃は20万すると聞いた事がある。

こんな所に住んでるの?24歳の男子が?

頭の中で「?」が飛び交う。彼は私からビ

ジネスバッグを受け取ると上を指さした。

「俺、ここの最上階に住んでるんです」

え?最上階・・・?

「ちょ、ちょっと待って。ここ何階まであ

るの?」

「50階です」