はちみつ・lover

「ていうか、葵さんに拒否権なんてありませ

んよ」

「え?拒否権って・・・?」

どことなく、彼の笑顔が腹黒く見える。そ

んな彼もカッコ良くて見惚れていると、彼は

急にビジネスバッグを預けてきた。

「さ、葵さん。行きますよ」

「ええっ!?ちょっ・・・」

彼は私をお姫様抱っこしてどこかに向かう。

近くに停まっているタクシーの運転手に声を

掛けると中に私を乗せて自分も乗り込んで

きた。

「ど、どこ行くの?」

「そんなの、俺の家に決まってるでしょ」

いつも天使に見えていた彼が、今は何だか

悪魔に見える。それでも他に行く所がない

ので仕方ないと諦めた。