「果菜さん、久しぶり」
私を迎えてくれたのは笑顔のアツシさん。

「こんばんは。お久しぶりです」

「ホントに久しぶりだよね。何でここに来なかったのかは大体わかってるけどね」

アツシさんは私の隣にいる進藤さんを軽く睨み、
「こいつが果菜さんを独占してたんだろ。果菜さんもイヤならイヤってはっきり言ってやっていいんだぞ」
と言う。

進藤さんはそんなアツシさんに何も言わず平然としている。
アツシさんの案内も待たずに私の腰に優しく手を添えて「窓際に行こう」と歩き出す。

アツシさんも苦笑いして後ろからついてくる始末。
ホントに自分勝手で困ったヒト。
私もアツシさんにくすっと笑ってみせた。

「俺はいつもの。果菜は?」
「私はアツシさんにお任せします。フルーティーなものがいいです」
ニコッと笑ってお願いした。

あまりカクテルの種類を知らない私はこうして頼んだ方がいいのだ。
私の好みを覚えてくれたアツシさんが選んで作ってくれるカクテルにハズレはない。

「OK、待っててね」
アツシさんはウインクをして離れて行った。