「果菜、ドライブしようぜ。行きたいとこあるか?」
「わ、夜のドライブですね。嬉しい。ワクワクします。夜の高速も海沿いの道路も大好きです」

思わず笑顔になって想像してしまう。
もともと車も好きだし、ドライブなら人目も気にならないし、進藤さんを独り占めできる。

「お、やっと笑ったな」
不意に私の頬に手を伸ばしてくいっとつまんだ。
「そうやって笑ってろ」

すぐに手を放して助手席のドアを開けてくれた。

痛い、けど、触れられた頬が熱い。
恥ずかしくて顔を見られないようにうつむいて「ありがとう」と小声で言って助手席に滑り込んだ。

あー、ホントにやばい。
ちょっとしたことにドキドキする。

「果菜のリクエストに応えて江の島辺りまで行くか。そこなら高速も海沿いも走るだろ」
「やった」
私は軽く手を叩き喜ぶ。
「よろしくお願いします」
「ああ」

そうして、私たちは夜のドライブに出かけた。