木田川さんと木下先生も驚いたように私の顔を見ている。

「そりゃ、頼めば他のナースが喜んで飛んでくるだろうけど。何と言っても、あのLARGOのタカトの看護だからね。水沢さんはそれでいいの?」

「そうだ、いいのか、果菜。俺の裸が他の女に触られるってことだぞ、しかも、ホテルのスイートルームで」

「いや、何を言ってるんですか、進藤さんは」

そりゃいい気はしない。
だってLARGOのタカトも楽屋の進藤さんも今ここで横になってる進藤さんも全部素敵だから。
ライブを見た後私はがっちりと彼に心をつかまれていた。
できれば他の人には見せたくない。
特に弱った進藤さんなんて誰にも見せたくない。
でも。

「ああ、そうか」
不意に何かを思いついたように進藤さんが呟いた。

「木田川さん、事務所の女の子に言って果菜の着替え一式適当に買って持ってくるように言って。ああ、部屋着になるようなものも一緒にね」

うわあ。
バレてる。
私が着替えを持ってきてないことを気にしていたこと。
昨夜は白衣で、今日は昨日出勤してきたときに着ていた私服。今日も汗をかいてるし下着だって替えたい。

私が顔を赤くしていると、進藤さんは「当たり」とニヤッとして、木田川さんは「ああ、そうですね」と頷いた。

「え?どういうこと?」と木下先生にはわからなかったようだ。