「これからしばらくは大変かもしれないけど、何とかなるから」
「もう結構騒がれているんでしょうか?」

「ホームページの発表でマスコミからの反応はあるけど。今朝の週刊誌の発売で反応が大きくなったわね。後ろ姿とはいえ、果菜ちゃんの姿を目にして一気に現実味が出てくるというか」

「明日以降ひどくなるってことですか?」

「既にそういう状態。だから、安全を考えてしばらくは貴斗と二人で一緒に外を歩かない方がいいと思うの。
木田川さんと3人でもね。多分切り取ってツーショット写真にされちゃうと思うから。こちらも果菜ちゃんのプライベートを侵害されないように気を付けていかないと。
今はね、マスコミよりも一般人の方が怖いの。勝手にネットにアップされたりするし」

そうなのか。ぶるっと鳥肌が立つ。

「気をつけます。それならなおさら、しばらく私は進藤さんのマンションに行かない方がいいんじゃ?」

「うーん、それはどうかな。
貴斗のマンションの方がセキュリティがしっかりしてるし、果菜ちゃんの安全も確保しやすい。
それに、今、貴斗から果菜ちゃんを引き離したら貴斗がうるさいと思うからね。これからレコーディングもあるの。果菜ちゃんがそばにいた方が精神的にもいいと思うからそのままがいいんじゃないかなって思うわ。外に出るときに貴斗と一緒にいなければいいのよ」

そうなのかな。

落ち着くまでは誰かが通勤時も帰りも付き添ってくれると言うので、私は「わかりました。ご迷惑をおかけします」と頷いた。