翌朝、木田川さんの運転する車に乗って出勤した。
何と、進藤さんをお供にして。
さすがに目立ってはいけないと、地味な服に眼鏡にマスクと帽子。

私を待ち構えていた美知子さんは目を丸くした。
「うっそ、ホントにタカトだわ」

次々と出勤してきたスタッフたちも、スタッフルームに変装用小物を外した進藤さんがいるのを見て、驚いたり、固まってしまったり。
留美ちゃんも顔を見るのは2回目なのに「い、息も出来ません」と身体をこわばらせていた。

スタッフが揃ったところで進藤さんは頭を下げる。

「今日、週刊誌に俺と果菜が写った記事が載ります。先手を打って昨夜ホームページに真剣に交際している女性がいるとコメントを出しました。もしかしたら、そのことでこの職場に迷惑をかけてしまうことがあるかもしれません。ですから、皆さんには先にこうして報告させていただきます。俺は彼女を大切に思っています。申し訳ないが、どうか協力して下さい」

進藤さんと共に私も頭を下げる。
本当は私が言わなくちゃいけなかったのに、このために進藤さんは一緒に来てくれたんだと思うとジーンと胸に響いた。進藤さんってやっぱりステキな人だ。

「果菜ちゃんのことは今まで通り私たちが守るから大丈夫ですよ」

はっきりとした強い声は美乃梨さんだった。
そういえば、美乃梨さんはLARGOの大ファンだって言っていた。
ファン心理としては、私がタカトとお付き合いしても大丈夫なんだろうか。