「それにしてもさ」

今日の木下先生はしつこい。

「水沢さんてさ、もう少し自分に自信をつけたほうがいいんじゃない?」

「どういう意味でしょう」

「女性としての自信っていうかさ」

「なんですか、それ」

「うちのクリニックの主力がさあ、暗い顔していられても困るんだよね。客商売なわけだし?」

「え、ここ、そういうとこでしたっけ?私たちナースも客寄せパンダ的な?まさかキャバクラ的な?」

木下先生はちっ、ちっと人差し指を横に振った。

「そうじゃないよ。水沢さんはうちのスタッフを引っ張る役割もお願いしてるでしょ。だから、余計暗い顔されてても困るんだよね。スタッフの士気が下がる。クリニックの雰囲気が悪くなる。ただでさえ、患者さんは不健康な状態の人がほとんどなんだから」

「それはごもっともですが。私に必要な女の自信って何でしょう?」

「そりゃ、女の自信なんて立ち居振る舞い、顔、スタイル、ファッション、知性、教養・・・それをある程度兼ね備えていることが必要だと思うけど。
でも、まあ総合して考えてみるとだ、・・・とりあえずナンパをされておいでよ」

「はああ~!!!!?」

何言ってんだ、この親父。