夏葉さんは可哀想なくらいに真っ赤になり藤川先生の胸や背中をバシバシと叩く姿は本当にかわいらしく藤川先生が虜になるのがわかる気がした。

先生たちは買うものがすでに決まっていたようで、私と別れるとすぐにレジに向かっていった。

買ったものを店員さんから彼女が受け取ろうとすると、すかさず藤川先生が横から手を出してそれを受け取る。
そして自分の空いている方の手をすっと差し出して彼女と手をつないだ。
そこまでの流れが本当に自然でスムーズだった。
いつもそうしているんだろうな、って感じ。

先生の彼女の夏葉さんはとても好感が持てる人だった。
だって、買い物の荷物も藤川先生が持つのが当然って感じじゃなくて自分で受け取ろうとしていたし、藤川先生が持ったらキチンと「ありがとう」って言ってた。

藤川先生が差し出した手をとってつなぐときもとても恥ずかしそうに先生の手を取っていた。

付き合って6年たっているのにこの感じ。
なんだかとてもうらやましい。

そういうわけで、何もしないで私の失恋はあっさり決まった。

あんなに溺愛する彼女がいる男性を追いかけるほど私も藤川先生にはまっていたわけじゃない。
ましてやあんな美人相手じゃ逆立ちしても無理。

はい、次に行こう、次。

そんな感じだったんだけど、なかなか次が見つからない。