「アツシの店からの帰りにエレベーターからふと外を見たら女性が人目を気にすることなく気持ちよさそうに深呼吸していた。その姿が何故だか強く心に残った。
しばらくして、偶然また見たんだ。よく見たら、アツシの店で見かける女性だった」

進藤さんはにこりと笑う。

「店で見た時は一人飲みが似合う静かな女性って雰囲気だったのに、深呼吸をする女性は何というか清々しくて気持ちいい女性だなと思った。
それからその女性が気になっていたんだ。その後、ナースとして彼女が俺の前に現れたのを見た時には運命だと思った」

運命・・・
私の胸がドキリと大きく弾んだ。


「果菜、話があるからこのまま俺の部屋に来てくれ」

そう言って有無を言わさず私の手を引くと、タクシーを止め、私を押し込むようにして乗り込んだ。