「うぅうー・・・やっぱり痛い・・」

五時限目を過ぎても治る気配のない頭痛。
紗南からもらった頭痛薬も飲んでみたけれど、やっぱり治らなくて。

「はぁ。最悪・・。やっぱり哲に迎えきてもらった方がいいかな・・・」

そう、独り言をつぶやいたつもりだけど。

「・・大丈夫?」

「ひゃぁ!」

隣の席の男子が私の顔を覗き込んできた。
確か名前は・・・小野田翔太・・くん。
いくら話さないとはいえ、クラスメイトの名前くらい覚えてるもんね!
しかも結構かっこいいからなぁ、彼。爽やかで、運動神経がよくて。でも、おとなしいって聞いたことがあるかも。
・・それにしても、いきなり出てきたもんだから、びっくりしちゃって思わず声を出してしまった。
それに・・・男子と話したことなんか、あんまりないもんね。・・哲以外。

「うん、何とかだいじょ・・いたたっ」

大丈夫って言おうとした瞬間、とてつもない頭痛に襲われて私は思わず頭を押さえた。
うぅ・・・やっぱり痛い。なんでこんな痛いの~・・・?

「え、ちょ・・・大丈夫じゃないじゃん」

「い・・から。ほっといてっ・・」

今は話すのも頭痛のせいでだるすぎて、突き放すようなことを言ってしまった。
でも、彼・・小野田くんは、未だに私の顔を覗き込み、心配そうな顔をする。
優しいんだなぁ・・・。
ぼーっと小野田くんを見ていたら、なんでだろう・・・?だんだんと・・意識が薄れて・・・。

「え・・・大東っ!!」





ーーーー最後に感じたのは、小野田くんの叫び声と・・・

哲の顔だった。