学校から見た窓の外の景色は、どんよりとしていた。
ざあざあと雨が降っていて、空は夕方のように暗い。
「はぁ。頭痛い・・」
私の大嫌いな天気、雨。
私の心もあの空のようにどんよりとしている。
雨の日はいつも、なぜか頭痛がするんだ。
机に突っ伏して現実逃避をする。
そうだ、明日のお弁当のことでも考えようかな・・・。
あ、哲の卵焼き、久しぶりに食べたいなぁ・・・。
あ、ちなみに、私は一応「お嬢様」っていう肩書きを背負っているけど、目立ちたくないから普通の高校に通っているの。
家のことも知られたくなくて、若干家から遠い学校に通ってるんだ。
だから、私の身分を知っている人はここの職員と、一人の友人のみ。
「ちょっと、愛奈大丈夫?あんたやっぱり雨には弱いんだねー」
「あ、紗南ぁ・・。雨ってなんであるんだろ・・・?」
もう何度目かわからない頭痛に頭を抱えながら、彼女に問いかける。
「知らんわ、そんなの!」
そう言って苦笑いをするこの女の子は、高野紗南。
中学から一緒の大親友で、まさに私の「秘密」をしってるの。
バレー部に所属していて、明るくて人気者なんだ。
「ほい、ココア。これでも飲んで元気だしな?」
自販機で買ってきてくれたらしい。
それを手の中に収めて紗南にお礼を言う。
紗南の優しさで、心もじんわり温かくなる。
「ありがと。頭痛くなってきたから、後で飲むね」
そう言ってココアを机の中にしまう。
頭痛がひどくなってきて、また机に突っ伏した。思わずため息が出てしまう。
「本当に大丈夫?哲さんに迎えきてもらった方がいいんじゃない?」
哲か・・・。
でも、哲は「頭痛ごときで僕を呼ばないでください」って言いそうだな。
そう考えて、紗南に苦笑いする。
「大丈夫だよ。どうせすぐ直るって」
本当は、朝から昼の今までずっと痛かったけど。
でも、これ以上紗南を心配させたくなくて。
紗南は明るいけど、人一倍優しくて心配性だから。
私は無くならない頭痛をかき消すように、机の中に入れていたまだ温かいココアを出して、思いっきり飲んだ。
ココアの甘みが、頭痛のせいで苦く感じた。