20代最後の夜は、あなたと

ひさしぶりのトキメキを味わった。


こんなに胸が苦しくなるなんて、何年ぶりだろう。


「紗和、キスしていい?」


「今さら聞くんですか?」


「イヤって言われても、するけどな」


目の前に霧島課長の顔が近づいてきたと思った瞬間、唇が重なった。


あったかくて、でもかすかにオトコっぽい香りを感じた。


「紗和の唇やわらかくてヤバい」


何度も重なる唇のせいで、すべてがあやふやになってきた。


「この続きは、あとでな」


そう言って私の手を握ると、霧島課長は車に向かって歩き始めた。


行きと違うのは、手をつないでいることと、恋人同士になったこと。