20代最後の夜は、あなたと

お昼を食べて戻りスマホを見たら、伊勢くんからメッセージが届いてた。


『今晩おごるから、飲みに行かねえ?』


目の前に座ってる伊勢くんを見ると、知らんぷりしてパソコンに向かってる。


『おごってくれなくてもいいから、飲みに行こう』


返事をしたのに、すぐ見ることもなくスマホをさわることもない。


なんか、その様子がちょっとかわいくて、笑えた。


伊勢くんと二人で飲むことなんて、永遠にないと思ってたけど。


霧島課長にズケズケ言われまくってる私があまりにもかわいそうに思って、誘ってくれたんだろうな。


優しい同期が身近にいて、よかった。


伊勢くんが指定したお店は、ごく普通の居酒屋だった。


チェーン店ではなく、でも気取った高級店でもなく、会社帰りに寄るのにちょうどいい雰囲気。