20代最後の夜は、あなたと

「おはよ、紗和」


「ん・・・おはよ」


「紗和、寝言で霧島課長のこと呼んでたけど」


「ええっ、うそ!」


ガバッと飛び起きた私に、伊勢くんは笑いながら私にキスした。


「冗談だって」


「もう、朝から変なこと言わないでよね」


「朝ごはん食べるだろ?


もうできてる」


「うん、急いで支度するね、ありがと」


ちょっと食事面で頼りすぎてる気はするけど、伊勢くんと生活するとしたらこんな感じなんだろうな、と想像した。


料理できる男子と結婚なんて、贅沢すぎる。


「紗和、とりあえずって言ったら変だけどさ、俺んちに引っ越せば?


そしたら、結婚生活のイメージわくんじゃね?」


結婚を前提にした同棲、ってことか。


「うん、そうかもね」


「紗和と少しでも長く一緒にいたいから、な?」


「家賃もったいないけど、なるべく伊勢くんちで過ごすようにしよっかな」


「賛成」


伊勢くんの笑顔は、ホッとする。