20代最後の夜は、あなたと

羽田空港から大分空港へ移動する席は、伊勢くんと一緒だった。


みんな私服だからそれだけでも新鮮で、しかも旅行だからテンション高めだった。


「宮本、明日どっか行くのか?」


「ううん、私はゴルフもしないし、せっかくだから別府まで行ってみようかと思ってる」


「俺と一緒に行く?・・・じゃなくて、行こう」


「え?」


「待ってるって言っただろ」


伊勢くんは、ブランケットの下で私の右手をそっと握った。


このまま、伊勢くんに甘えていいのかな?


そしたら、幸せになれる?


そのためには、課長にきちんと話さないといけない。


「伊勢くん、今晩だけど、課長に呼ばれてる。


ちゃんとケジメつけてくるから」


「俺は、期待して待ってていいわけ?」


「うん・・・たぶん」


「わかった」


伊勢くんが笑ってくれた。


これでいいんだよね?