寡黙な御曹司は密かに溺愛している

それにしてもこの着ぐるみ、初めて着たのもあって、脱ぎ方もわからない。

視界不良で見えにくいし、結局そのまま棒立ち状態。

「……ああっ!もう、無理。限界。暑い」

ただでさえ、これからこの着ぐるみに入って接客をしなきゃいけないのに、今からこんな酸欠状態じゃ続かない。


なんとかこの顔だけでも脱ぎたいと着ぐるみを脱ごうと頭を持ち上げようとしたときだった。


「きゃあ!!」


何かコードのようなものが足に引っかかりそのまま私はその場に転んでしまった。
それなのに、なぜだろう、あまり痛くない。


あっ、そっか。着ぐるみに入ってるからだ。と一人納得して立ち上がろうとすると、今度は私以外の女性の悲鳴が聞こえてきた。