寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「で、その彼女の代わりに秋月さんにほわっとニャンの中に入ってほしいのよ。ほら、サプライズゲストのほわっとニャンは必須でしょう?」

「そ、そうですけど、何で私?私、着ぐるみなんて入ったことないんですけど……」

大宮さんはやんわりと断る私に縋るような目をして「そこはなんとか」や「あなたしかいないの」と口にした。

困ったな。あまり断れない雰囲気だ。
しかももうすぐ開店時間一時間前。


ほわっとニャンのサプライズ演出は、開店から一時間後の午後一時。

ふうとため息をこぼしたものの、これはもう腹をくくるしかない。


「……わかりました。あまりうまくできるかわかりませんがやってみます」

「本当?!さすが秋月さん!話がわかる!本当助かるわ、ありがとうね」


ニコニコとそう言って、大宮さんが私の両手を掴む。
結局、断ることも出来ず、私はほわっとニャンの着ぐるみに入ることになってしまった。