寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「……ありがとう。そして、本当に今まですまなかった。これからは、祖父としてできることがあるのならわしにさせてほしい」



涙を浮かべてそう言うおじいさんに、本当に調子がいいなと思わなくもなかったけれど、なんとなく嬉しそうなみんなの表情を見てこれでよかったんだと言い聞かせた。



自分のほのかに芽生えた課長への気持ちは気づかなかったことにすればいい。




おじいさんには、考えて二週間後に返事をすることになった。
その後、お母さんとお父さんと色々話して二人はやっぱり私の気持ちを尊重してくれると言ってくれた。

「春花、お前が優しい子だということは、分かってる。だからこそ、自分が我慢をする選択だけはするな」


お母さんのいないところでお父さんがコソッとそう言ってくれた。
だからこそ、おじいさんやお母さんの気持ちも大事にしつつ、自分で決めようと思った。