「よかった、なんとか形にはできた」
失敗してもなんとか形にはできたけれど、マグカップなのにどこか歪。
自分の不器用さが情けない。
「お前は、本当に不器用だな。でも、一生懸命で努力家ですごいと思う」
「嫌味ですか?自分がそんな売り物みたいに上手に作れたからって」
私の歪なマグカップとは違い、課長のマグカップはお店でも売れそうなくらい上手。
悔しい、なんだかとても悔しい。
「でも、俺はそのマグカップのほうが味があっていいと思う」
「あーっ、言いましたね。だったら焼きあがったら交換ですよ。私のあげますから、課長の私にくださいね」
ビシッと言った後、ちょっと恥ずかしいことを言ったなと我に返った。
でも、課長は初めて嬉しそうに微笑んで「了解」と言ってくれた。
その陶芸体験の日から私に少しだけ変化が訪れた。
自分では意識しているつもりはなかったけれどちょっと前髪が跳ねてたら気になったり、なんとなく課長を目で追いかけたり。
『ねえ、春香、あんた好きな人できたでしょう?』
美嘉に言われて、その時は違うと大きく否定したけれど、ちょっとだけ課長のことが気になるようになっていたのは間違いじゃなかった。
そんなほんのりとした気持ちが芽生えた頃、私に一通の電話が掛かってきた。
失敗してもなんとか形にはできたけれど、マグカップなのにどこか歪。
自分の不器用さが情けない。
「お前は、本当に不器用だな。でも、一生懸命で努力家ですごいと思う」
「嫌味ですか?自分がそんな売り物みたいに上手に作れたからって」
私の歪なマグカップとは違い、課長のマグカップはお店でも売れそうなくらい上手。
悔しい、なんだかとても悔しい。
「でも、俺はそのマグカップのほうが味があっていいと思う」
「あーっ、言いましたね。だったら焼きあがったら交換ですよ。私のあげますから、課長の私にくださいね」
ビシッと言った後、ちょっと恥ずかしいことを言ったなと我に返った。
でも、課長は初めて嬉しそうに微笑んで「了解」と言ってくれた。
その陶芸体験の日から私に少しだけ変化が訪れた。
自分では意識しているつもりはなかったけれどちょっと前髪が跳ねてたら気になったり、なんとなく課長を目で追いかけたり。
『ねえ、春香、あんた好きな人できたでしょう?』
美嘉に言われて、その時は違うと大きく否定したけれど、ちょっとだけ課長のことが気になるようになっていたのは間違いじゃなかった。
そんなほんのりとした気持ちが芽生えた頃、私に一通の電話が掛かってきた。

