寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「いや、それよりももっと行きたいところあるんだけど、聞きたいか?」

「えっ?」

「……どこだか言おうか?」

「えっと、陶芸。私、陶芸に行きたいです」

いつもより少し熱っぽく見つめられて、そんなこと言われたら、流石にパニクってしまう。

今日はいつもの課長じゃないみたい。

だから咄嗟に陶芸なんて口にしてしまった。自分でもなんで陶芸?と思ったけれど、この際どこでもいい。

それに陶芸なら自分のことに集中していればいいだけだから無心になれる。

「……陶芸か」

距離を戻し、考えるようにボソッと呟いた課長。

やっぱり陶芸はあまり興味ないかもしれないなと様子を伺うといそいそと課長は、カーナビで近くの陶芸体験ができる場所を探し始めていた。