寡黙な御曹司は密かに溺愛している

昨日の美嘉の発言を思い出してイラッとしてしまった。
そんなこと思い出している場合じゃないと慌てて時計を見ると、もう約束の十時。


とりあえず、用意はしたもののやっぱりどこに行くかは決まらない。

「もういいや、この際課長に決めてもらおう」

とうとう投げやりになった私は震えた携帯を手にし、「着いた」という課長からのメッセージを見て、家を出た。

私の家の前に全くそぐわない高級車。

そんな運転席から出て来た課長は、いつもよりラフな服装。

ジャケットにシャツ、第一ボタンは外していて着崩しているし、長い足にピタッとしたパンツはモデルのように似合っていた。