寡黙な御曹司は密かに溺愛している

今度は私が赤面だ。

まさかそんな答えが返ってくるなんて思わなかったし、何、あの表情。
元々イケメンだし、綺麗な顔にはにかんだ笑顔なんてズルすぎる。

「どうだ?まだ言わせるのか?それとも俺と出かける?」

「ずるい、ずるいです。私、そんなこと言われ慣れてないし、隠し球ばかり投げてこないでください」

「なんだ、隠し球って」

「隠し球は、隠し球です」

ムッとした私にクスクスと笑う課長。

本当に隠し球ばかり。
さっきははにかんだ照れ笑いだったのに、今度は少し意地悪そうに「出かける?」なんて砕けた言葉。

恋愛慣れしていない私にはもうキャパオーバーだ。

「……日曜日、行きます」

返事をしなければ、次はどんな隠し球を投げて来られるかわからない。

もし、ここで私が鼻血でも吹き出しそうな隠し球を投げて来られたらもう耐えられない。


そう思い、降参するように返事した。