寡黙な御曹司は密かに溺愛している

課長が連れてきてくれた場所は、隠れ家のようなイタリアンだった。

暗い階段を上ったところにあるそのレストランは、常連客であろう人たちで賑わっていた。

「素敵なところですね。お料理も美味しいですし」

お腹がペコペコだったから、本当に美味しいお料理が食べられて幸せ。

サラダもオリーブオイルをかけて食べるバゲットも揚げナスと海老のトマトクリームパスタも絶品。

「お前は、好きなものは残しておくんだな」

「えっ?あっ、そうなんです。よく友達からは先に好きなものを食べたほうがいいって言われるんですけど」

気づかれてしまった。
私のパスタのお皿に明らかに残された海老。


昔から好きなものは最後まで残しておきたい私は、つい今もその食べ方が直らず、大好きな海老だけを不自然に残していた。