「おつかれー!」

「あっ、美嘉おつかれ」

「今から行くの?」

「そうそう。頑張ってくるよー!」

部署を出て、エレベーターを待っていると、同期で同じチームの柿原美嘉(かきはら みか)が声を掛けてきた。

美嘉は栗色の肩下のセミロング、モデルのようなスラッとした体系。
見た目は可愛いのにやたらとサバサバしているギャップ美女。

かたや私は生まれてこの方、髪の毛を肩以上伸ばしたことはない。
今だって少しおしゃれは意識したけれど、耳下のボブショート。
体系は中肉中背の普通。

「あれ、美嘉何それ?」

美嘉は、片手に似合わない栄養ドリンクを持っていた。

美人に栄養ドリンク、すごい組み合わせ。

私がじーっと見ていたからか美嘉は少し照れ笑いを浮かべた。

「あっ、これね。美味しいのよ。たまーに飲みたくなるんだ」

そう言って、ごまかしたつもりなのかもしれないけれど、私にはお見通し。

「前野くんにあげるんでしょ」

ニヤッと笑みを浮かべ、耳元でこっそり私がそう言うと美嘉は「ち、違うから」と明らかに動揺していた。