寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「おつかれー!」


ほわっとニャンカフェ初日は、無事大成功。懸念していた私のほわっとニャンもなんとか失敗もなく、お客様に好評だった。


それに、着ぐるみ人気なのに、自分が人気者になったかのように、ちょっと私まで誇らしかった。

そんな初日の夜、私と大宮さんはお互い直帰ということもあり、近くの居酒屋で二人、プチ打ち上げをやっていた。



「それにしても、秋月さんのおかげよ。ほわっとニャン大人気だったもんね」

「いやぁあのキャラクターを生み出してくれたみょんさんがすごいんですよ。ほわっとニャン、本当に可愛いですし」

最初はほわっとニャンカフェの話で盛り上がっていた私たちだったけれど、お酒か進むとプライペートの話にコロッと話題が変わっていた。

「なんかさ、こういう仕事してると、なかなか家事も出来なくて、気がつくと日照りっていうの?彼氏もいないザ、三十路みたいな。ああっ、彼氏欲しい!」

大宮さんは、彼氏がいないことを嘆き始め、私はそれを聞きながら出汁巻や焼き鳥に手を伸ばす。

「秋月さんは?秋月さんは彼氏いるの?」

目の前のフライドポテトに手を伸ばした瞬間、机に寝そべってすっかり出来上がっていた目の座った大宮さんがビシッと私を指差した。

「いるわけないじゃないですか。第一、私は仕事が恋人ですから」

「だよねー」と安心したようにいう大宮さんにホッとした。