寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「気にしなくていい。それより、何でもやるんだな、今のFCチームは」

うっとりするように目の前の男性に見惚れていると、突然彼の口から出たFCチームの言葉。

「あの、もしかして、うちの関係者の方でしょうか?」

本社は広いし、チームもたくさんあるから知らない人の方が多数だ。
でも、うちのチームの関係者ならなんとなく顔なじみ。

それに、ここまでわざわざ来る人なんて珍しい。
もしかして、ほわっとニャンのライセンス契約をライセンスアウトしろとか狙っているライバル会社の刺客?!
私の頭にそんな考えが浮かんだ。

うちとみょんさんはライセンス契約を結んでいるので他社からほわっとニャンの商品を出すことはできない。

ところが最近、ほわっとニャンがあまりにも売れているからとチーム内でもライセンスアウト、つまり、他社からの商品も出せるようにしたほうがいいという声がちらほら上がっている。

でも、私は反対。

さっきまではステキな人だと思っていたけれど、いざそう考えると悪い人のように思えてきた。

私の問いかけに答えない辺り、ますます怪しい。