婚姻届と不埒な同棲

「これは、どういうことですか…?」

改めて尋ねる。
そろそろ明確な答えをもらいたい。

「結婚するからだよ」

「そうなの?

誰とですか?」

それはめでたい。
とても喜ばしい。

純粋にそう思う。

なのに、彼は何故か私を指差している。

「ん?」

「萩花だよ。

ほら、婚姻届」

渡された婚姻届には、すでに拓斗くんの名前が記してある。

「…っ」

はぁぁ!?

思わず反射的にそう叫びたかったのをぐっと堪えた。