婚姻届と不埒な同棲

「俺だよ。

俺が萩花を日本に戻したんだ。

久しぶりー」

どこからともなく現れたのは、高身長でスタイルが良く、整った顔でニコッと微笑む若い男性。

一瞬誰かわからなかったが、笑ったときにできるそのえくぼと、癖のある黒髪、そして強気な態度。

「拓斗くん…」

飯盛家の一人息子、飯盛拓斗だ。
彼は私よりも3つ年下で、メイドとして働いていた頃に勉強を教えていた子だ。

生意気だけど、可愛らしさもあって憎めない子。

そんな子が、今やこんな立派な男性に。
目の前に立たれると、あれから随分身長が伸びたことがわかる。
昔は私と同じくらいだったのに、今では見上げなきゃならない。
それに、声も低くなった。

なんだか懐かしさとか嬉しさとかで胸がいっぱいだけど、そう流されてもいられない。