「あの、すみません!

私、急に帰国しろって呼び戻されたんです。
まだドイツでやらなきゃいけない仕事もあります。
どうしてわざわざ日本まで呼び戻されたんですか?」

「…」

運転しているその執事私の声なんて聞いていないのか、全く反応してくれない。

「一体、誰の仕業ですか?」

「…全ては、到着してからお聞きになってください」

すごくドライな返し。
知ってる上で黙ってるのか、本当に何も知らないのか。

この車が目的地としている場所はなんとなく予想がついている。
だから、もう黙ることにした。