婚姻届と不埒な同棲

はぁ。

ひとまず採点を始める。

シュッシュッという赤ペンの音だけが静かな部屋に響く。

「…終わった」

ちょっと待ってよ、ふざけてんの?
丸を付けられる場所が全然見つからないんだけど。

怖くなって、拓斗くんの過去の成績を確認した。

「話にならない」

5段階評定で1が並ぶ。
もちろん最高が5という順番。

判断を誤っていたようだ。

一気に血が流れ込むんだように脳が回転する。
拓斗くんの大学受験までおよそ10ヶ月。
それまでにカバーすべきはおそらく高校3年間の全範囲。

センター入試までのスケジュールを歩きながら組み立てる。
1日何時間勉強時間をとれればいい?
というか、どこから手をつければいい?

そんなことを考えながら、拓斗くんを探す。