そんなときに、声をかけてくれたのが飯盛家の当主、飯盛哲平だった。

「実は、君の父親とは学生時代からの仲なんだ。
あいつが結婚してからは、奥さん、つまり君のお母さんにもとても世話になった。
そんな彼らの大事な1人娘が路頭に迷うのを見てはいられない。

大学に進学しなさい。学費のことは心配しなくていい。
その代わり、学校以外の時間はうちでメイドとして働いてもらう。
それでどうだ?」

その提示は、私にとって光以外の何でもなかった。

こうして、私は飯盛家でお世話になることとなった。


住み込みのメイドとして働く一方で、旦那様も早苗さんも私に家族のように接してくれた。

学校生活を心配してくれたり、私の壊滅的な料理の技術の向上に一役買ってくれたり。
それでも、壊滅的から苦手といえるまでになっただけなんだけど。