婚姻届と不埒な同棲

「飯盛家、だと?

高垣さん、これはどういうことですか?」

錦織家の方々は、“飯盛”という名前に眉をひそめた。

「何でもありませんよ。
まだ若いですから、結婚に対して不安を覚えたのでしょう。
錦織様のご指導があれば、良き妻として働きますよ。
そうよね?」

はい?
何を言っても結婚の話が中断しない。
なかなかしぶとい。

いい加減気分が悪い。
さっきから人の声が二重に歪んで耳に届いて脳を揺らすようだ。

早くこの場所から出て行きたい。

「失礼いたします」

「なんだ、こんな時に」

「実は…」

外から入ってきたのは錦織家側の人間。
何やら耳打ちをしている。

漂う不穏な空気。

何かあったらしく、錦織家の人々の顔色が悪くなっていく。