婚姻届と不埒な同棲

私も同じように正面に正座をする。

「ククッ…」

…ん?

こちらを睨んだかと思えばすぐにうつむいて…。
そして今は笑ってる?

「何がおかしいのよ」

「ははっ。
萩花ってば全然変わってねーのな。

さっきまで俺に向かって他人行儀に敬語で喋るから、そっち側の人間になってしまったかと思ったけど、何にも変わってなかった」

「何それ」

「安心したってこと。

俺を飯盛家の長男として扱わないの、萩花くらいだから」

安心、ね。
そんなことを言われると、怒ってるこっちが馬鹿らしくなってしまう。

変わらないところがあるのは、拓斗くんも私も同じだということか。
こうして、あの頃に戻ったように話せてしまうんだから。