いや、待って。
まだそうと決まったわけじゃない。
この状況は限りなく黒に近いけど、まだ黒じゃない。
決めつけるには尚早というもの。

「ねぇ、拓斗くん!
起きて!」

目を擦りながら眠たそうにする彼を無理矢理覚醒させる。

「あ、おはよう。早いね。
もう少し寝ようよ」

寝起きの掠れた声でそう言うと、ゆっくりと手がのびてくる。

うわわわ…。

私の身体は簡単に彼の腕の中に包み込まれ、私の背中と彼の胸板が密着する。

肩に息がかかるたびに、ぞくっとする。
それに、腹部に回された手が気になって仕方ない。

なんだろう…。
頭で覚えてなくても、身体が覚えてるような気がする。

これは…。

これは完全にやらかしてる。